採用時期
本気なら「3年の春から準備」が基本
マスコミの採用時期は、コロナ禍前後から早期化の傾向が続いている。
本選考の応募締め切りは、民放キー局で3年の11月前後が多く、全国紙では翌年1月から3月に集中している。4年生になる頃には内定が出ていることになる。新卒就活市場全体では、4年の6月頃から選考が本格化するのが平均的。マスコミの選考時期は「かなり早め」といっていい。
インターン
さらに、「インターン優遇」の存在も見逃せない。インターン優遇とは、3年生の夏に開催されるインターンシップに参加した学生を対象に、本選考に先立って特別の選考ルートを用意したり、本選考において一部のステップを免除したりする対応のことをいう。本記事で紹介するすべての全国紙、民放キー局が、多かれ少なかれこうした対応を行っている。マスコミへの就職を考えているなら、インターンには必ず応募するべきだろう。
図1に示した通り、各社ともインターンの応募締め切りは3年の7月に集中。いずれも応募者全員が参加できるわけではなく、本選考と同様に厳しい選考がある。倍率は、社によっては数十倍以上に達する。本選考ほどでないにせよ、しっかりとした対策が必須だ。
秋になってから本選考の準備を始めるのではもう遅い。マスコミを目指しているなら、遅くとも3年の春からインターン選考の準備を始めるのが基本になる。
インターンから早期選考の流れ
詳しい流れを確認していこう。
全国紙
まず全国紙。インターンの応募締め切りは、3年生の6~7月に集中している。最も早いのは読売で、6月の中旬(※1)。その後、7月上旬に日経、中旬に共同、下旬に朝日、毎日、NHKと続く。
この後、各社とも8~9月にかけてインターンを実施する。インターンでは、参加者の取り組みを人事部が観察し、有望な学生に目を付ける。10月から12月にかけて、これらの学生を対象に「早期選考」の声がかかり、早ければ年内に内々定が出る(※2)。選考内容などに細かい差はあるが、スケジュールの大枠はどの社も同じだ。
言い換えれば、どの社もインターンに参加すれば早期選考と本選考という2回のチャンスがあることになる。
(※1)建前上はインターンではなく、セミナー形式の説明会の締め切りということになっている。これとは別に、7月に入ってからインターンの募集がある。しかし、両者は事実上連続している。インターンに参加したいなら、セミナーの締め切りである6月中旬が実質的な締め切りと考えておいた方が無難だ。
(※2)かつては、全国紙のうち朝日新聞だけは早期選考を行ってこなかった。しかし、ついに26卒採用では早期選考を実施。これで、主要全国紙・NHKの全社が早期選考を行うことになった。
民放キー局
次に民放キー局だ。インターンの締め切りは、全国紙と同様、3年生の6~7月に集中。最も早いのがフジで6月中旬。続いて、7月上旬にTBS、中旬に日テレ、下旬にテレ朝が締め切りを迎える。テレ東が最後で、8月上旬である。この後、やはり8~9月にかけてインターンが実施されるのも全国紙と同じだ。
しかし、違いはこの後の流れだ。テレ朝、TBS、日テレは、11月前後からいきなり本選考が開始する。全国紙と同じように年明けから選考を始めるのは、フジとテレ東だけだ。インターンと本選考の間に時間がある全国紙と比べ、インターンからの「流れ」に乗っていないとより厳しい戦いになるだろう。
なお、民放キー局で明確に「インターン優遇」を行っていると公表しているのは日本テレビだけだ。しかし、実際には他社も優遇を行っている。例えば「就活会議」がテレ朝のインターン参加者に対して行った調査によると、「インターンへの参加が本選考に有利になると思うか」という質問に対して「はい」と回答したのは30%だった。これは、「70%の人が『いいえ』と回答しているので、実際には優遇はない」というよりも、むしろ「実際には優遇が存在し、その対象になったのが全体の30%だった」と解釈するのが正しい。「いいえ」と答えた70%の人は、優遇の対象にならなかったので、そもそも優遇の存在自体を知らないだけの可能性がある。
民放キー局は、選考の内容やスケジュールを秘密にしており、ほとんど外部に公表していない。選考プロセスの柔軟性を保つためだと考えられるが、多くの就活生にとっては悩みの種だ。会社が設けているマイページなどに早めに登録し、情報を逃さないようにする必要があるだろう。
